東洋医学の「気血栄衛」の考え方

東洋医学では、体が邪もしくは邪気に冒されることで病気になると考えられています。カゼが風邪という漢字を使うのもこれが由来です。それでは、なぜ体に邪気が入ってくるのでしょうか。

それは、体の健康を保つ「気血栄衛(きけつえいえ)」という要素のバランスが崩れるからだと言われています。古代の中国人は、この「気血栄衛」が体の中を循環して、器官の働きを調整していると考えてきました。では、それぞれどんな要素なのでしょうか。

「気」は元気という言葉にもある通り、生命活動の最も基本的な原動力です。「気」には、生まれながらにして持っている先天の気と生まれた後に摂り入れていく後天の気があります。近年では、生活環境の悪化により、アレルギーを患ったりと後天の気が影響を受けるケースが増えています。

「血」は血液を含んだ体液です。これが不足してしまうと血虚という状態になり、めまい・立ちくらみ・肌の乾燥・抜け毛などを引き起こします。「栄」は食べたり飲んだりしたものから抽出される栄養素のことで、五臓六腑に注いだあと脈に流れ血漿成分となります。「衛」は皮膚や肉の中を巡っている気で、邪や邪気から守る文字通り自衛の力です。

東洋医学では、こうした気血栄衛が、体の外の邪や邪気の影響を受けて、体内のどこかで滞り、その結果として異常に増えてしまったり逆に少なくなってしまうと考えられています。こうしたバランスが崩れた状態を「病気」と呼んでいるのです。